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&WOOLの“ちょっと豊かに”なる情報を発信していくブログです。
2020/10/22 00:00
こんにちは。いつも「AND WOOL」をご利用くださって、ありがとうございます。今日は、私たちが取り組んでいる「雇用創出プロジェクト」について、改めてご紹介させていただきたいと思います。
■在宅ワークを必要としている人
私たち「AND WOOL」では、製品製造の一部を「内職」という形で、在宅ワークを必要としている人たちに発注する仕組みを作っています。
具体的に「在宅ワークを必要としている人」というのは、何らかの事情があって外に働きに行きづらい方たちのことです。
例えば、お子さんがまだ小さくて外に働きに出ることができないお母さん。出産を機に編み物を始める方は非常に多いので、お子さんの小さいお母さんには、プロにも負けないような編み物の腕をもっている方も少なくありません。
さらに、定年退職ですでに定職からは離れたものの「まだまだ働きたい!」という方などもそうです。でも体の不調などがあり、遠くまで通勤できない方も多いはずです。この世代の方の中には「手編み機」を使っていたとか、今は使っていないけど自宅にある、といった方が多くいらっしゃいます。昔はミシンと同じくらい「手編み機」が一般家庭に普及していたからです。
編み物の技術や知識をもっていて活かしたい人が、在宅ワークを必要としている人たちの中にたくさん眠っていると、私たちは考えています。そんな方たちに、優秀な「編み手職人」として、私たちの仕事を手伝っていただきたいのです。
また、精神疾患などから、人との付き合いが難しく外に出て働けないという方もいらっしゃいます。私たちの製造には一部、ひたすら単純作業を繰り返す、という工程を必要とするものがあります。手を動かすことを一定回数繰り返すというものです。
あれこれ考えずにひとりでできる仕事は、精神疾患のある方にも負担が少なくてすむようです。心に負担をかけない仕事は、その人の暮らしの中にほんの少しの余裕を生むことができるのではないか、そう考えて在宅ワークの「雇用創出」を行うことで、ニット制作に携わってくれた作り手の方たちの心や暮らしが「ちょっと豊かに」なるようにしたいと思って、このプロジェクトを進めています。
■製品クオリティを落とさない仕組み
外部の方に制作に入ってもらうということは、仕上がりの製品クオリティに影響するのではないか、ということを心配されるお客様もいらっしゃるかもしれません。
それについては、私たちのニットやファッションに関する専門知識を使って、「どういうデザインにすれば」また「どういう作業工程にすれば」仕上がりに影響しない部分の単純作業が製造過程の中に発生するか、それをゼロから考えてその仕組みもゼロから作っています。「AND WOOL」では、素材や製造過程のすべてを把握できる環境にしています。ですから、そのような仕組みも実現することができています。
具体的には、「ストール」ならば、「手編み機」で編み上げる部分のみを外注しています。「手編み機」のレバーを左右に動かすだけならば、プロがやろうと素人がやろうと、仕上がりは同じです。
編み上がった「ストール」は私たち「AND WOOL」に届けられ、今度は専門の技術をもったスタッフたちが、最終的な製品に仕上げていきます。単純作業の部分を外注していることは、仕上がりにはまったく影響していません。
■適正価格で「雇用創出」を行うために
在宅ワークでできる単純作業というと、「内職」=「低賃金労働」というのが一般的なイメージだと思います。
しかし私たちは、きちんと仕組みを作ることで、製品製造に関わってくれた方に、適正価格での報酬を支払うことが可能だと思っています。実際にそれを実現しています。
それができる理由の1つは、「AND WOOL」のニット製品が高級品だということです。実際にオートメーションの機械で編み上げられた大手の企業のニット製品に比べて「AND WOOL」のニットは上質です。それは1つ1つ「手編み機」で人が手仕事で仕上げているからです。空気をたっぷりと含み柔らかでふんわりとして、他にはない肌触りの製品が完成します。この上質な製品を適正な価格で販売することで、手を動かして作業してくださっている方たちに、適正な報酬を支払うことができています。
さらに、製品を購入してくださったお客様にも、「価格以上の価値を感じていただきたい」という思いがあるので、極端に高額な価格設定にしたりはしていません。ですが、逆に安売りもしていないのです。みんなにとって幸せな状況を作るために一番重要なことは、すべてを「適正価格」にすることだと思っています。
一般的な「内職」が「低賃金労働」になってしまう理由は、その商品が価格競争にさらされて安価な値付けがされてしまうからです。そのしわ寄せは末端で作業する現場の作り手にきてしまいます。上質な商品を無理して安価で販売することなく、適正価格でお客様に購入していただくことで、現場の作り手に適正な賃金を支払うことは可能になります。
無理して安売りする必要がないような製品を作り、その製造過程の中に在宅ワークを必要とする人たちに発注できる仕事を入れ込むという「仕組み作り」が大切だと思っています。
■就労継続支援B型事業所へのお仕事発注
私たちのこの「雇用創出」の取り組みは、大変ありがたいことに新聞などのメディアでも取り上げていただいて、それを知った方たちから「うちでもお仕事をやらせてもらえませんか?」という問い合わせが少しずつ届くようになりました。昨年夏に行ったクラウドファンディング「みんなを幸せにする【魔法のストール】の予約販売で在宅ワークの雇用創出をしたい!」では、多くの方からご賛同いただき、目標を達成することができました。
私たちは、在宅ワークの「雇用創出」と並行して、「就労継続支援B型事業所」へのお仕事発注も積極的に行っています。現在は、静岡県内の3つの事業所と協力してこの取り組みを進めていますが、他にも「やりたい」という事業所さんからの連絡をいただいています。
就労継続支援B型事業所には、基本的には先ほど紹介した通り「単純作業」の部分をお願いしていますが、人によってはすでにかなりの技術を身につけられている方もいらっしゃいます。そのような方には、単純に「手編み機」のレバーを左右に動かすだけではなく、模様を編み込むような作業もお願いしています。
例えば、こちらの網目模様は、1つ1つ目を拾って編んでいく作業になるので大変手間がかかりますが、手作業でやらないとこんなふうに模様がふっくらと浮かび上がりません。オートメーションの機械では、糸を十分に引き上げられないので、どうしても模様がペタッと平面的になってしまいます。手仕事ならではの仕上がりと言えます。このような「他にはない製品」を作るためには、人の手が不可欠なのです。
「いいものを作る→適正価格で販売する→適正価格を作り手に支払う」という、ものづくりをする上では非常に当たり前のことが、実は一番難しいことでもあります。それを実現できる仕組み作りを行い、この活動を広げていくことに、私たちは今後も取り組んで参ります。
これからも「AND WOOL」の活動を見守っていてください。どうぞよろしくお願い致します。
「AND WOOL」
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